はじめに

GA4を開いて数字を追ったものの、結局どこを直せばいいのか分からないまま閉じた経験はないでしょうか。AIでレポート作成を自動化しても、出てくるのは「先週よりセッションが12%減りました」という要約だけで、打ち手には届かないことが多いものです。

本記事では、Claude CodeでGA4を分析し、数字を実際の改善案に変えるための3手順を解説します。スマートエイトは生成AI研修と開発受託を手がけており、自社サイトの分析もこの方法で内製しています。

結論として、Claude Code×GA4分析で効くのは「レポートが速くなること」ではありません。数字と画面と競合サイトを1か所に並べ、出力をファクト・考察・アクションの3層に分けて指示することです。この順番を守ると、離脱の多さという数字が「見出しが3行あって読まれていない」という直せる原因まで降りてきます。

Claude CodeでGA4を分析する目的を決める|「速いレポート」ではなく「原因に届く」

最初に決めるのは、何を速くしたいかではなく、何に届きたいかです。ここを曖昧にしたまま始めると、きれいな要約が毎週届くだけで終わります。

レポート自動化を目的にすると打ち手が出ない

GA4のAI活用として最も多く紹介されているのは、月次レポートの作成時間を削るという使い方です。作業時間そのものは確かに減ります。

ただ、レポートが速く出ることと、改善が進むことは別の話です。GA4の標準レポートが返すのは「どのページで、どれだけ人が減ったか」という数値です。異常検知の機能を使えば、どの流入元やデバイスで想定外の変化が起きたかまでは自動で示せます。ただ、「見出しの文言が読者に伝わっていない」のような画面上の原因までは特定しません。

そのため、要約を上手にするほど「数字は分かったが、で、何をするのか」という状態が固定されます。自動化した出力が貯まっても行動が変わらないという構図は、議事録でも同じことが起きます。この点は議事録の自動化だけでは読まれない|記録を行動に変える3つの手順で詳しく扱っています。

分析の目的は「直せる単位」まで降ろすこと

目的として設定するのは、「離脱を減らす」ではなく「今週1つ、直す箇所を決める」です。粒度をここまで落とすと、必要な入力が自然に決まります。

離脱の理由を知るには、数字だけでなく、その画面が実際にどう見えているかが必要です。逆に言えば、数字と画面がそろっていない分析は、どれだけAIを賢くしても推測の域を出ません。

接続の仕組みは公式にあるが、まだ試験的な段階

Claude CodeからGA4のデータを読み取る方法として、GoogleがGoogle アナリティクス用の接続ツールを公開しています。Googleアナリティクスの管理用APIとデータ取得用APIを使い、プロパティの情報取得・レポート・リアルタイムの照会ができるものです。

ただし、このリポジトリには「Experimental(試験的)」と明記されています。準備としてGoogle Cloud側の設定と読み取り専用の権限が必要になり、仕様も今後変わりうる段階です。業務の本番運用に組み込む前提で選ぶ道具ではなく、まず自社サイトで試す道具として扱うのが妥当です。

*プロパティ:GA4でサイトやアプリ1件ぶんの計測単位を指す名称。管理画面の上部で切り替えるものがこれに当たる。

数字と画面を1か所にそろえる|Claude Code×GA4分析の入力の作り方

手順の1つ目は、入力をそろえることです。ここで手を抜くと、以降の出力はすべて一般論になります。

GA4から取るのは4つの数字に絞る

GA4は指標が多く、全部渡すと論点が散ります。1回の分析で使うのは次の4つで足ります。

取る数字

見るページ

この数字で分かること

ページ別のセッション数

流入の多い上位10ページ

どこを直せば影響が大きいか

ページ別の離脱数と表示回数

同じ上位10ページ

どこで読者が降りているか

フォームの入力開始数と送信完了数

申し込み・問い合わせ

入力途中で止まっている割合

流入元別のセッション数

サイト全体

検索経由と広告経由で挙動が違うか

1点だけ注意があります。GA4には「離脱率」という標準の指標がありません。旧バージョンのGoogleアナリティクスにはあった指標で、現行のデータ取得APIの指標一覧にも載っていません。離脱の割合が必要なときは、離脱数と表示回数を取って自分で割る形になります。

フォームについても、GA4が数えているのは「表示された数」ではなく「入力を始めた数」です。設定上は入力開始が「form_start」、送信完了が「form_submit」という名前で記録されます。

指標を絞る理由は、AIに考えさせる範囲を狭めるためです。渡す数字が多いほど、相関のありそうな組み合わせを並べた「読み物」が返ってきやすくなります。

同じページのスクリーンショットを必ず添える

数字と同時に、その画面のスクリーンショットを渡します。パソコン表示とスマートフォン表示の2枚あれば十分です。

これが効くのは、AIが画面上の要素を具体的に指摘できるようになるからです。「離脱率が高いです」で止まらず、「見出しが3行に折り返しており、最初の画面に数字も実績も出ていません」という記述に変わります。

スマートフォン表示を必ず入れるのは、ファーストビュー*の見え方がパソコンと大きく違うためです。パソコンでは1行の見出しが、スマートフォンでは4行に折り返していることは珍しくありません。

競合サイトを2〜3社ぶん並べる

3つ目の入力は、競合サイトの同じ位置の画面です。自社サイトだけを追っていると、「無いもの」に気づけません。

自社サイトの分析では、競合には助成金の訴求と「導入◯◯社」のような導入社数のラベルがあるのに、自社サイトには両方とも無いという指摘が出ました。これは自社の数字をいくら見ても出てこない発見です。

なお、Claude Code そのものにブラウザを動かす機能はありません。ブラウザ操作用の外部ツール(Chrome DevTools MCP*、Playwright MCP など)を追加で接続すると、競合ページの取得と比較まで同じ会話の中で進められます。

*ファーストビュー:ページを開いた直後、スクロールせずに見える範囲。ここで価値が伝わらないと読者は数秒で離脱する。 *MCP:AIに外部のツールやデータをつなぐための共通の規格。ブラウザやGA4への接続もこの仕組みを使う。

出力をファクト・考察・アクションの3層に分ける|「感想」に戻さないための指示

手順の2つ目は、出力の形を先に指定することです。指定しないと、事実と推測と提案が1つの文章に混ざり、社内で使えないものが出てきます。

ファクトは数字と画面の記述だけにする

1層目のファクトには、GA4の数値と、画面に何が写っているかの客観的な記述だけを書かせます。ここに「読みにくい」「魅力が弱い」といった評価語が入ったら、指示が守られていません。

実際に使っている指示は短いものです。「出力を3つに分けてください。1つ目のファクトには、GA4の数値と画面に写っている要素の記述だけを書き、評価や推測は入れないでください。2つ目の考察には、1つ目のどの記述を根拠にしたかを毎回書いてください。3つ目のアクションには、今週着手する1つだけを選んで書いてください」という形です。

分けておく価値は、後から人が検証できる点にあります。数字の出所とスクリーンショットが残っていれば、結論に納得できない人が同じ場所を確認できます。

この1層目は、資料の形でも出せます。スマートエイトでは、実際のスクリーンショットに赤枠と番号を重ねた「赤入れPDF」と、改善提案書を別々のファイルとして出しています。番号は色で意味を分け、赤が問題点、黄色が位置や順序の問題、緑が新しく足すべき要素です。

ここで守っているルールは1つだけです。赤入れには現状の事実しか載せず、「こう変えるべき」は改善提案書のほうに書きます。混ぜてしまうと、指摘に納得していない人が事実の部分だけを確かめられなくなります。

指摘は出す前に必ず画面と突き合わせます。特に効くのは「ない」と指摘した要素が本当にないかの確認です。別の位置にあるだけというケースが多く、ここを飛ばすと1件の誤りで資料全体の信頼が落ちます。

考察には根拠の数字を必ず引かせる

2層目の考察では、1層目のどの事実に基づく推測かを毎回明示させます。書き方の型は「最初の画面での離脱が、上位10ページの中で最も大きい。かつ見出し自体がクリックされている。よって見出しの内容が伝わっていない可能性がある」という形です。

この指示を入れる理由は明確で、根拠が付いていない考察は社内で「それはあなたの感想ですよね」と返されて終わるからです。逆に、数字と画面の両方を引いた考察は、稟議の材料になります。

アクションは今週やる1つに絞る

3層目のアクションでは、改善案を優先度つきで出させたうえで、今週着手する1つを選ばせます。10個の改善案リストは、実行されないという意味では0個と同じです。

選ぶ基準は「影響の大きさ÷手間」です。見出しの文字数を削るのは1時間で終わりますが、フォームの項目を減らすのは業務側の合意が必要になります。

出てきた改善案を実際にページへ反映する段では、指示を都度出すのではなくファイルに残す進め方が効きます。この方法はAIで作ったLPがダサくなる原因|Claude Codeで改善する3つのファイルにまとめています。

自社サイトで実際に出た発見とAIに任せられる範囲|等身大の見積もり

手順の3つ目は、出た結果をどこまで信じるかを決めることです。ここを楽観的に見積もると、次の四半期に「AIの分析は当たらない」という結論が残ります。

ここから先は、スマートエイトが自社サイトを実際に分析したときの記録です。数字とヒートマップをつないで発見を絞り込み、赤入れPDFを出すまでの流れは動画でも公開しています。

最初の画面での離脱は、見出しの長さが原因だった

スマートエイトが自社サイトを分析したところ、離脱が集中していたのはファーストビューでした。具体的な数値は上の動画で公開しています。

原因として絞り込めたのは、見出しが3行・60文字あったことです。加えて、当時併用していたクリックの記録では、リンクではない見出し自体がクリックされていました。読者が見出しの意味を掴もうとして触っている状態であり、3秒で価値が伝わっていないという仮説につながりました。数字だけを見ていれば「離脱が多い」で止まっていた場所です。

フォームで止まっていた原因は、文言と色だった

同じ分析では、入力を始めた人のうち送信まで進んだ割合が低いことも分かりました。改善余地として挙がったのは、送信ボタンの文言と色です。背景色と近く、ボタンだと認識しにくい状態でした。

フォームの項目数についても検討しました。HubSpotが自社顧客の4万件超のランディングページを分析した記事では、項目数が増えるほど完了率は緩やかに下がり、特に複数行の記述欄と選択式のドロップダウンで下がり幅が大きいと報告されています。ただし同記事は具体的な下落率を数字で示していないため、「項目を減らせば何%上がる」とは言えません。

つまり、外部データで方向は裏づけられても、幅は自社で測るしかありません。改善の効果をどう数えるかについては生成AIの費用対効果を測る4つの問い|OpenAI CFOの採点表の使い方の考え方が使えます。

任せられるのは「上の下」までという実感

自社で回した実感として、AIに任せられるのは「上の下」あたりまでの分析です。専門のアナリストが仮説を立て直すような領域には届きません。

一方で、管理画面を切り替えながら人が数時間かけていた突き合わせが1か所で完結するため、着手の頻度は上がります。分析の質が最高でなくても、月1回から週1回になれば発見の総量は増えます。

なお、当時ヒートマップとして併用していたツールは現在は運用していません。クリックの記録がなくても、スクリーンショットと競合比較だけで上の3つの発見のうち2つは出せます。有料ツールの契約を先に決める必要はありません。

こうした分析の型を自社の業務に落とし込む進め方は、スマートエイトの生成AI研修でもハンズオン形式で扱っています → 生成AI研修の詳細

よくある質問|Claude CodeとGA4分析について

プログラムを書ける人がいないと始められませんか?

分析の指示は日本語で出せますが、最初の接続設定にはGoogle Cloud側の作業が必要です。ここだけは社内のシステム担当か外部の支援を借りるのが現実的です。設定は1回で済み、以降の分析は非エンジニアでも回せます。

無料のGA4だけで足りますか。ヒートマップは必須ですか?

まずはGA4とスクリーンショットの2つで始めて構いません。上で挙げた3つの発見のうち、フォームの完了率と競合との比較は有料ツールなしで出せます。クリックの記録が要ると判断したのは、見出しが読まれているかを確かめる段になってからです。

AIが出した改善案は、そのまま社内の稟議に使えますか?

そのままでは使えません。数字の出所とスクリーンショットが1つずつ紐づいているかを人が確認したうえで、アクションを1つに絞り直す必要があります。3層に分けて出力させるのは、この確認作業を短くするためです。

どのくらいの頻度で回すのが現実的ですか?

改善を1つ実施してから次を回す、という単位が扱いやすいです。週1回に固定すると、前の改善の結果が出る前に次の分析が届き、どの施策が効いたのか分からなくなります。

さいごに

本記事では、Claude CodeでGA4を分析して数字を打ち手に変える3手順を解説しました。入力を数字と画面と競合の3点にそろえること、出力をファクト・考察・アクションの3層に分けること、そして任せられる範囲を「上の下」までと見積もることが要点です。

「GA4は見ているが改善に結びつかない」「レポートの自動化はできたが打ち手が出てこない」という課題を持つ企業にとって、数字と画面を1か所で突き合わせる進め方は現実的な一歩になります。まずは流入の多い1ページから試すことをおすすめします。

スマートエイトの生成AI研修では、自社の実データを教材にして、研修の翌日から使える型を残すことを重視しています。企業規模・業種に合わせて設計できます。

詳細はお気軽にスマートエイト公式サービスページからお問い合わせください。貴社の状況に合わせた最適な進め方をご提案します。 ※生成AI研修資料/導入事例も無料ダウンロードいただけます。